はい、では私の地元高知県の方言である土佐弁を見ていきましょう。
高知県には高知県高知市という中心部で話される土佐弁と高知県西部の一部で話される幡多弁というもので大きく二つに分かれます。
この二つはかなり違うものですので高知県の方言イコール土佐弁というのは厳密に言うと間違いという事になります。
また、高知県中心部に住む多くが土佐弁を話すため土佐弁はシティボーイ、幡多弁はいなかっぺのようなイメージがあったりします。
どっちも東京から見ると田舎なのに不思議なものですね、田舎にも度合が有るという事なんですね。
という事で前置きが長くなりましたが、今回解説するのは高知県の土佐弁の方でございます。
「ゆう」
はい、まず一番最初に紹介しなければならないのは全ての動詞に掛かって来て頻繁に使う言葉「ゆう」です。
これは標準語で言う所の「てる」に該当します。
例えば標準語の
「してる」「やってる」
は土佐弁で
「しゆう」「やりゆう」
となります。
つまり動詞句の進行形を表現する際のてるがゆうという音になっているという事になります。
土佐弁を語る上で最も重要なところがこの「ゆう」であり、更に
「しちゅう」「やっちゅう」
このパターンも存在しますが違いが分かるでしょうか?
これは何が違うかと言いますと、「しゆう」「やりゆう」は完全なる現在進行形、「しちゅう」「やっちゅう」は過去進行形となります。
これは標準語に無い概念であり翻訳するとしたら
「しちゅう」=「もうすでに〇〇については、し終えている」(時間的には少し前)
「やっちゅう」=「もうすでに〇〇については、やり終えている」(時間的には少し前)
と、ここまで文脈が長くなります。
土佐弁ではこの様な細かな文脈を短く表現出来る言語ということになります。
土佐弁も標準語もどちらも日本語なのに直訳出来ないという事が起こっているわけです。
大変興味深いと思いませんか?
では続いて過去形も見てみましょう。
「しよった」「やりよった」
これは「しゆう」「やりゆう」の過去形で
「してた」「やってた」
という事になります。
そして
「しちょった」「やっちょった」
こちらはどうでしょうか?
そうです、これは過去進行形「しちゅう」「やっちゅう」の完了を示すバージョン、過去完了形であり、標準語に無い概念で翻訳するとしたら
「しちょった」=「〇〇をしていた事を覚えている」(時間的には割と前)
「やっちょった」=「〇〇をやっていた事を覚えている」(時間的には割と前)
となります。
いきなり土佐弁の根幹部分に触れたので難しかったかもしれません。
今回をまとめますと、日本の方言には標準語よりも細かな状態の表現をより短い音声で伝達するものも存在する。
という事になります。
次回以降は更に発展した言葉を見ていきます。
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